ドキュメント「候補者たちの闘争、選挙とカネと政党」(岩波書店、井戸まさえ著)を読む
府中市議選も終わり、一息ついているところですが、以前から読みたい著作で、元衆議院議員の井戸まさえさん著作「ドキュメント 候補者たちの闘争、選挙とカネと政党」(岩波書店)を読みました。旧民主党などで県議、代議士と歩まれた井戸まさえさんの実体験にもとづく著作で、議員として仕事する私にとって、大変迫力ある、また時に「縛り付けられる」なリアリティーあふれる文章を前に、一気に読みました。
内容は冒頭から、2017年11月に行われた解散総選挙の経過から始まります。民進党が突如解党し、小池百合子当時代表の希望の党に合流することになった経過について、当時、民進党に所属し、代議士として再起をめざす井戸さんが、政党間の思惑に「巻き込まれ」ながら、ある意味「漂流」する姿を通じて、わが国の政治、政界の実態をリアルに描いています。
この総選挙を通じて、政治とは、政治家とは、政党とは、選挙とは何か。そうしたことについて、長年政治の世界で活躍されてきた、井戸さんの政治家としての考えを通じて、現在のわが国の政界のリアリティーな姿を描く、まさに力作ともいえる著作です。感想を述べればきりがないのですが、とくに印象に残っているのは、現在の政局を見る際、立憲民主党の枝野代表について見る視点です。著作のなかで故仙谷由人元代議士が「政治的ずるさは前原より枝野だな」と語っていたとされる部分です。
実は私も以前、宴席の場で菅直人代議士(元総理)と一緒になる場面がありました。その際、隣の有権者の方が菅さんに「枝野さんはどういう政治家なのか?」と尋ねた際、菅さんは「前原より枝野のほう政局感が鋭く、時の政局に応じて機敏に動ける政治家だ」と話していたことを、著作を読んで思い出しました。
井戸さんの著作を通じて、政治家とは選挙民に選ばれる存在ゆえに「はかない」存在であることを、私自身も実体験をもって読み取ることができる著作です。田中角栄元総理は「政治家は風、民衆は大地だ」と言われたそうですが、まさに「言い得て妙」と思います。
政治に関心のある方も、ない方も、これから政治家を志す方もぜひ、ご一読をすすめるものです。
結城りょう