府中市の国民健康保険料、来年度(2019年度)値上がりの見込み
【府中市は今後20年間かけて市税投入を削減、中止を計画】
今年の4月から国民健康保険制度が「改革」で東京都と市区町村は共同の保険者となりました。厚労省は今後、市区町村が国民健康保険会計に法定外一般会計からの繰入金の解消、削減に計画的に取り組むことを方針としています。これまで市区町村は国民健康保険を財政的に下支えするために、国保料の値上げを押さえるために市税を投入していましたが、「今後は市税投入をやめろ」というのが厚労省の方針です。
府中市は今後20年間かけて、段階的に市からの繰入金を削減して、解消していこうとう方針を提案しました。保険料は2年に1回の割合で改定(保険料値上げ)を予定とする内容となっており、今後20年間で約25億円の削減をめざしています。そこで来年度(2019年度)は2億1500万弱の削減を計画し、削減分だけ保険料が被保険者に上乗せになります。所得割で現行4.63%から4.69%に均等額で現行22,920円から23.320円へ、賦課限度額が52万円から58万円になるとのことです。
【全国知事会でも国保に公費投入増額を要求】
高すぎる国保料をこれ以上上げないために、最近では全国知事会も国保の定率国庫負担の増額を政府に要望し続けており、公費を1兆円投入して、協会けんぽ並み負担率にすることを政府・与党に求めています。だいたい国保制度が開始された当初は政府も「国民健康保険は、被保険者に低所得者が多いこと、保険料に事業主負担がないこと(略)などのため(略)どうしても相当額国庫が負担する必要があります」との認識でした(社会保障制度審議会『1962年の勧告』)。
ところが1984年の国保法の改定で国保への定率国庫負担を削減したのを機に、政府は国庫負担を抑制し続けてきました。国保加入者の構成も、かつては、7割が「農林水産業」と「自営業」でしたが、いまでは、43%が「無職」、34%が非正規雇用などの「被用者」で、あわせて8割近くです。これを国民健康保険制度の「構造的矛盾」と言われています。
そのために国保料は国費からの投入が半減されるなかで上がり続けているため、国保料を払えずに保険証を取り上げられる事態が各地で増えいていることが問題になっています。こうした状況のもとで自治体からの税金投入がなくなれば、保険料はどこまで上がり続けるのか、また被保険者は払うことができるのか。国民皆保険制度は崩壊してしまうのではないでしょうか。先日、共産党中央委員会は国保問題で見解と政策を発表しましたが、府中市議団も国保問題は連続して一般質問で取り上げてきており、12月議会でも取り上げる予定です。
結城亮(結城りょう)