「ルポ・トランプ王国を行く」(岩波新書)
★没落した白人層の支持をえたトランプ候補
私は、今年の2月に発行された岩波新書「ルポ・トランプ王国を行く」(金森隆一著作)を読みました。昨年11月のアメリカ大統領選挙において、なぜトランプが大統領になったのか、どういう地域の人々がどのような思い、願いを抱いてトランプを支援していたのかが、実に詳細にルポをされている著作であり、その興味深い内容に私もすぐに読了しました。
一言にすると、アメリカの中間層が没落し、アメリカ国内において展望を見出すことができない多くの白人の支持を得ている様子が、現場密着のルポで伝えられている内容です。それはかっての炭鉱の街であったり、自動車製造の街であったり、第一次産業や製造業の衰退が、もろにアメリカ国民、多くの勤労者の没落をまねいたことにより、格差と貧困が米国内を蝕んでいった様子が、詳細なルポとして描かれています。また以前は民主党を支持していた有権者が、昨年の大統領選挙ではトランプ氏を支持している様子もリアルに伝えられています。
★アメリカで起きた現象が日本でも起こる
先の大統領選挙直前の報道では、日本国内ではヒラリークリントン有利とされていましたが、この著作を読めばトランプ大統領になることの必然が理解できるでしょう。この本を読んで、私は格差と貧困社会に苦しむアメリカ国民が、もはや二大政党では米国民のニーズを実現する体制には、もはやなっていなことを感じます。それは今日の日本の政治の姿を見る思いです。アメリカと同じ現象が、近い将来、日本の政治体制にも、大激動の変革を呼び起こすのではないかという予感をさせる著作です。